【5月24日 東方新報】中国のオンラインショップサイトで衣料品の「先行予約販売」が増えている。注文を受けてから業者が衣服の製造や入荷を始め、半月後や1か月後に商品を届ける仕組みだが、最近は「いくらなんでも届くのが遅い」「注文を受けてから、綿花の栽培を始めているのか?」などと批判が出ている。

「淘宝(タオバオ、Taobao)」「抖音(Douyin)」「快手(Kuaishou)」といった中国のオンラインショップのプラットフォームでは「30日後に品物をお届け」「45日間の先行予約」という広告を多く見かける。

 予約販売されるのは、中国の伝統衣装をコスプレ風にした「漢服」、日本の女子高生の制服をイメージした「JKファッション」、そしてゴスロリなどのロリータファッションといった若者向けの衣服が多い。業界関係者は「こうしたニッチな衣装はコストが高いが、大量に売れるわけではない。零細業者が一番恐れるのは、大量に在庫が残ること。予約販売で需要が確認できるのは大きい」と事情を明かす。

 ただ、配達期間の長期設定は「罰金逃れ」の側面もある。例えば「淘宝」は、販売業者に商品の配達期間を「48時間以内」「7日」「15日」などと明示するよう求め、期間内に配達できなかった場合、取引額の10%を購入者に返金するよう定めている。そこで、返金を避けたい業者は最初から「30日後」「45日後」などと配達期間を長めに設定するようになった。

 100万人以上のフォロワーを持つインフルエンサーの温精霊(Wen Jingling)さんが4月中旬、「春に買った服が夏に届いたりする。先行販売って言ったって、いくらなんでも長すぎるでしょ!」とインターネットで訴えると、「同感」「私もひどい目に遭った」と反響が殺到。中国で若い女性を中心に人気のSNS「小紅書(Red)」で「討厭預售(予約販売にうんざり)」というワードの書き込みが1000万件以上閲覧された。

 最近の配達の遅れは新型コロナウイルス拡大の影響で、物流が停滞している理由もあるが、消費者の積もり積もった怒りは収まらない。網経社電子ビジネス研究センターの趙占領(Zhao Zhanling)特約研究員は「消費者の権益を損なう前売り販売業者へのペナルティーを増やし、プラットフォームも各店舗への監督責任を果たすべきだ」と指摘している。(c)東方新報/AFPBB News