【5月18日 AFP】米司法省は17日、同国の銃器製造企業が2000~20年に、商用向けに1億3900万丁の銃を製造したとする報告書を発表した。2020年だけでも1130万丁の銃が生産されたという。

 報告書によると、20年余の間に輸入された銃器は7100万丁に上った一方、輸出された銃器は750万丁だった。米国では銃器を使った殺人事件や自殺が増加しており、個人所有の銃器が市中に豊富に出回っている実態が報告書で裏付けられた。

 米国では半自動小銃が人気だが、口径9ミリの半自動式の拳銃が実際には多く購入されていると報告書は指摘している。同型の拳銃は安価かつ扱いが容易である上、正確な銃撃が可能で、警察官の大半が使用している。

 また、ネット上で購入したり、3Dプリンターで作ったりした部品で製造された「ゴーストガン(幽霊銃)」も急増している。このような銃は、製造番号がなく追跡が難しく、当局は対応を迫られている。

 リサ・モナコ(Lisa Monaco)司法副長官は、確かな情報把握があってはじめて現在の暴力事件に対処できるとの見方を示し、「この報告書はこうした方向への重要な一歩だ」と述べた。

 米ニューヨーク州バファロー(Buffalo)で14日に18歳の白人の容疑者が銃を乱射し、アフリカ系米国人10人が死亡するヘイトクライム(憎悪犯罪)が起きるなど、米国では先週末に銃乱射事件が相次いだ。

 米疾病対策センター(CDC)は先週、2020年の銃関連による死者が「歴史的」な増加を記録したと発表した。同年の銃を使った殺人による死者は1万9350人で、対前年比35%近く増加。銃による自殺では2万4245人が死亡し、同1.5%増えた。

 2020年には、銃による殺人の死亡率は人口10万人当たり6.1人で、25年以上で最悪だった。CDCは、新型コロナウイルス感染症の流行によるストレスや貧困が影響している可能性もあるとしている。(c)AFP