【5月17日 AFP】国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)のフランチェスコ・ロッカ(Francesco Rocca)会長は16日、欧州の難民対応には「ダブルスタンダード(二重基準)が存在する」と指摘し、アフリカ出身とウクライナ出身で著しく扱いが異なると非難した。

 ロッカ氏は国連(UN)本部で2018年に採択された移住に関する国際的な文書「移住グローバル・コンパクト(Global Compact)」の進捗(しんちょく)状況を評価する会合に出席した。

 ロッカ氏は記者会見で、ウクライナ東部ドンバス(Donbas)地方から逃れる人と、ナイジェリアのイスラム過激派組織ボコ・ハラム(Boko Haram)による暴力から逃れる人の間に違いはないと訴えた。欧州社会が短期間にウクライナ難民数百万人を受け入れた点を称賛する一方、主に地中海経由で欧州入りしているアフリカ難民を数千人しか受け入れていない点を惜しんだ。

 さらに「暴力から逃れる人、庇護(ひご)希望者は平等に扱われるべきだ」として、「民族や国籍に基づいて命を救うかを決めるべきではない」と主張した。

 さまざまなリスクがあり、虐待されることもあると分かっているにもかからわず、アフリカから欧州を目指す難民は後を絶たない。国連の統計によると、昨年は3万1000人以上が危険で命を落とすことも多い地中海ルートでリビアからイタリアに渡った。

 一方、2月末にロシア軍が侵攻を開始して以降、ウクライナから国外に逃れた難民は600万人以上となっている。(c)AFP