【5月16日 AFP】英国のチャールズ皇太子(Prince Charles、73)は今週、エリザベス女王(Queen Elizabeth II、96)の名代としてカナダを公式訪問する。女王の高齢化と最近の健康問題は、70年間に及ぶ治世が終わりに近づいていることを示しており、皇太子の一挙手一投足と将来の役割にますます注目が集まっている。

 女王は先週、約60年ぶりに英議会開会式を欠席。チャールズ皇太子が代理を務めた。この出来事は、英国民の意識に明らかな変化を促した。

 英調査会社ユーガブ(YouGov)とタイムズラジオ(Times Radio)が今週行った世論調査では、女王は生涯君主であるべきだとの回答が49%を占めたものの、前月の調査からは10ポイント減少。一方、生前退位すべきだと答えた人は9ポイント増加し、34%に上った。

 チャールズ皇太子の評価も上がっており、良い君主になるとの回答は4ポイント増えて36%だった。

 今回のカナダ訪問は、女王の在位70年の「プラチナ・ジュビリー(Platinum Jubilee)」に合わせ、英王族が英連邦(Commonwealth)諸国を訪れる記念行事の一環。チャールズ皇太子とカミラ夫人(Camilla, Duchess of Cornwall、74)にとっては、カナダで地歩を固める機会となる。

 だが、直近の世論調査によれば、カナダ国民と英王室との距離は開きつつあるようだ。カナダ人の約3分の2が今も女王を好意的に見ている一方、51%は立憲君主制の維持を支持していない。

 支持率低下の一因は、先住民の子どもたちが寄宿学校で虐待され死亡していた過去を見直す中で、カナダ政府や国民の植民地主義に対する受け止め方が変化していることにある。

 ジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は3月、英ウィンザー城(Windsor Castle)でエリザベス女王に面会した際、和解を政府の優先事項に掲げた。

 チャールズ皇太子とカミラ夫人も、虐待があったことを今回の訪問で認める予定だ。皇太子の側近のクリス・フィッツジェラルド(Chris Fitzgerald)氏は、先住民コミュニティー訪問も日程に組み込まれるとしている。(c)AFP/Phil HAZLEWOOD, with Michel COMTE in Ottawa