■普通の車が買えない

 シリア・パルミラ(Palmyra)近郊に派遣された際には、手りゅう弾で重傷を負った。だが、ロシアの内戦介入は、シリアにとって何の役にも立たなかったのではないかと今では思っている。

「シリアの国民は、電気も燃料もなく、おなかをすかせ、寒さに耐えている。それだけだ。この点を考えると、介入は何の助けにもなっていない」

 ロシア政府は現在、ウクライナでの支配地域の拡大をもくろんでいる。ガビドゥリンさんは、ロシア市民は日々の生活にも苦労しており、国内問題に集中的に対処した方が賢明だと指摘する。

「ロケット弾はあっても普通の車が買えないなんて! ロシア版アイフォーン(iPhone)も製造できていない。私たちは西側の技術に完全に依存している」「まずはこういうことを解決すればよかった。しかし(ロシア指導部は)自分の評価を高めるために小さな戦争で勝利を収める方が重要だった」

 さらにガビドゥリンさんは「本当に尊敬され、目標とされるため、国内問題に取り組むべきだった。私たちはウクライナの健全な模範になれた」「そうすればウクライナは私たちを押し返すのではなく、自ら歩み寄ってきただろう」と語った。

 ロシア政府は、ワグネルとは一切関係ないと主張している。プーチン氏もワグネルは「民間企業」だとしている。

 欧州の政府関係者は、ウクライナ侵攻に傭兵1万〜2万人が参加していると指摘したが、うち何人がワグネル所属かは分かっていない。英国防省によると、ワグネル幹部もウクライナ入りしている。

 ガビドゥリンさんは、ワグネルとのつながりはないというロシアの主張を一蹴する。「国家の許可がなければ、民間人がこうした兵器を保有することはできない。それ以外あり得ない」 (c)AFP/Stuart WILLIAMS / Marine PENNETIER