【5月16日 東方新報】中国で普及が進む電気自動車(EV)などの新エネルギー車(NEV)。それと同時に充電場所の不足や走行中の電池切れへの不安も課題となっており、ワイヤレス充電の開発を求める声が高まっている。

 中国自動車工業協会によると、2021年に中国で販売された新車のNEVは前年の2.6倍の352万1000台。新車全体(2627万5000台)の13.4%を占める。中国メーカーを中心に新型EVの投入が増え、NEVシフトを促進する政府の補助金もあり、NEVを選ぶ消費者が増えている。同協会は2022年のNEV販売台数を500万台と見込む。NEVだけで日本国内全体の新車販売台数(2021年は444万台)を超える勢いだ。

 一方、NEVの走行を支える充電スタンド。2021年末で全国に261万台あるが、使用されていない「ゾンビスタンド」が各地で問題になっている。政府の補助金目当てに住宅街から離れた場所に設置したものの、利用者が少なく維持されなくなったスタンドが少なくない。都市部でも充電スタンドの場所に偏りがあり、「スタンドで順番待ちの運転手が横入りされないよう、充電ケーブルのコネクターをずっと握り締めている」という光景も見られる。高速道路の走行では電池切れへの不安があり、「渋滞で車が動かない場合、エアコンを消して道路に座る」という話も多い。

 そこで開発が待たれるのがワイヤレス充電。地面に敷設した送電コイルから自動車下部の受電コイルへケーブルやプラグを使わずに電力を供給する仕組みだ。既存の駐車スペースを活用できる上、ドライバーは車から降りて重いケーブルを持って充電する手間もなくなる。中国政府は「新エネルギー車産業の発展計画(2021~2035年)」の中で、「高出力充電・ワイヤレス充電などの新技術の開発を強める」と明記している。

 上海汽車集団(SAIC)傘下のEVメーカー智己汽車(IM Motors)は量産モデル「L7」にワイヤレス充電技術を搭載。自動車大手の吉利汽車(Geely Automobile)やEV大手の比亜迪汽車(BYD)などもワイヤレス充電技術の開発を進めている。ボルボ・カーズ(Volvo Cars)は3月、スウェーデンで新しいワイヤレス充電技術のテストを行うと発表しており、国際的競争も激しくなっている。

 一方で、ワイヤレス形式は充電スタンドの急速充電に比べてまだ出力が弱く、充電に時間がかかるのが課題。停車した車の位置がずれていたり、車高が高い車の場合、うまく充電できない可能性もある。地面の送電コイルが雷や雨、雪、高温、凍結といった天候に耐えられるか年月をかけた研究も必要となる。

 ハルビン工業大学(Harbin Institute of Technology)電気工程・自動化学院の宋凱(Song Kai)教授は「わが国のワイヤレス充電技術の開発を進めて知的財産権を持つ産業に発展させることが必要だ。先進国の技術独占を打破し、中国の存在感を世界に高めることにつながる」と話している。(c)東方新報/AFPBB News