【5月13日 AFP】米国は12日、ロシアがウクライナ人少なくとも数万人をロシアまたは親ロシア派支配地域に強制連行し、侵攻に抵抗する人物をあぶり出す「選別」も行っていると非難した。ウクライナ側は120万人近くが強制連行されたとしているが、そうした見方を支持するものだ。

 米国のマイケル・カーペンター(Michael Carpenter)欧州安保協力機構(OSCE)大使はオーストリアの首都ウィーンで開かれたOSCE常設理事会で、ロシア側が設置した「選別収容所」で「残忍な尋問」が行われていることを裏付ける目撃証言があると述べた。

「今こうしている間にも残虐行為と強制連行が行われている。それは戦争犯罪に当たる」と指摘。「そうした悪を見逃すわけにはいかない」と訴えた。

 カーペンター氏によると、ロシア軍がウクライナ人少なくとも数千人を「選別収容所」に、数万人以上をロシアまたは親ロ派支配地域に強制連行したと米国は推定している。最終的な行き先を告げられずに連行された人もいるとされる。

 ロシア軍の猛攻により廃虚と化した南東部の都市マリウポリ(Mariupol)だけでも、数千人が強制連行されたという。

 カーペンター氏は、親ロ派武装勢力が支配する東部ドネツク(Donetsk)州への強制連行を「誰もが恐れていた」とする生存者の証言を紹介。証言によると、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が好んで使う侮蔑表現である「ウクライナのナチス」のレッテルを貼られると、ドネツクに連行されて詳細な取り調べを受けたり、殺害されたりするという。(c)AFP