【5月13日 AFP】北朝鮮が12日、国内初の新型コロナウイルス感染者確認を発表した際、同国の国営テレビは、マスクを着用した金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong Un)総書記の姿を初めて放送した。

 首都平壌市内で発熱した複数の患者から、感染力が強い変異株「オミクロン株」の別系統「BA.2」が確認されたことを受け、同国は「最大非常防疫態勢」に移行したと発表。初のマスク姿で緊急政治局会議を開いた金氏は、全国を対象としたロックダウン(都市封鎖)を指示した。感染者の具体的な数は公表されていない。

 2500万人の人口を抱える同国は、世界保健機関(WHO)や中国、ロシアからの新型ウイルスワクチン提供の申し出を断っており、国民は接種を受けていない。このため識者は、大流行が起これば、同国の脆弱(ぜいじゃく)な医療体制では対処が困難だと指摘。韓国・梨花女子大学(Ewha Womans University)のレイフエリック・イーズリー(Leif-Eric Easley)准教授は「政府がオミクロンの症例を公に認めたということは、公衆衛生が深刻な状況に陥っているに違いない」と述べた。

 韓国の北朝鮮関連ニュースサイト「NKニュース(NK News)」は、平壌地域はすでに2日にわたって封鎖されており、人々がパニック買いに走っているとの情報があると伝えた。(c)AFP/Cat Barton and Kang Jin-kyu