【5月9日 AFP】国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)は8日、シリア内戦の結果、援助を必要とする子どもが過去最多となる一方、支援のための資金は「急減しつつある」と警告した。「シリアの子どもたちはあまりに長期にわたって苦しんできており、これ以上苦しむべきではない」と訴えている。

 ユニセフの広報担当者ジュリエット・トゥマ(Juliette Touma)氏によると、援助が必要なシリア人の子どもは国内外合わせて930万人に上る。

 同氏はAFPに「シリア国内で650万人超の子どもが援助を必要としている。これは約11年前に危機が始まって以来、最多だ」と説明。加えて近隣諸国に避難した子ども280万人が援助に頼って暮らしていると述べた。

 ユニセフ中東・北アフリカ地域事務所のアデル・ホドル(Adele Khodr)代表は「シリア国内でも近隣諸国でも、子どもたちのニーズは高まっている」「多くの家庭が困窮している。ウクライナ危機の影響もあり、食料など生活必需品の価格が高騰している」と語った。

 ホドル氏は「一方で人道支援のための資金は急減しつつある」と指摘。2022年にユニセフが必要とする活動資金のうち、調達できているのは半分に満たないと強調した。

 その上で「100万人近い子どもたちにとって唯一の命綱」であるシリア北西部での「越境人道支援」に充てるため、2000万ドル(約26億円)の追加資金拠出を呼び掛けた。

 シリア内戦は2011年、反政府デモに対する弾圧をきっかけに始まった。これまでに約50万人が死亡、数百万人が難民・避難民となっている。(c)AFP