■建築材料をグリーンに

 建築に木材を使う主な利点は、環境により優しいことだと推進派は主張する。

 国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、建築資材として木材を用いた場合、炭素集約度(エネルギー消費量当たりの二酸化炭素排出量)をコンクリートの最大30分の1、鉄鋼の数百分の1から数千分の1にまで減らすことが可能だという。

 木造建築を推進するロビー活動団体「トラスタッド(Trastad、森の都の意)」のコーディネーターを務めるジェシカ・ベッカー(Jessica Becker)氏によれば、排出量削減のための世界的な取り組みの影響で、木造建築への関心は急激に高まっている。

「サラ文化センターは、これほど高くて複雑な建物が木造でできる良い見本です」と、建設に携わった建築家の一人、ロバート・シュミッツ(Robert Schmitz)氏は話す。

「議論の前提にこの建物があれば、『これを建てることができたのだから、不可能だなんて言えないだろう』といつでも主張できます」

 トラスタッドのベッカー氏は「潮目が変わってきたと気付いたのは、ほんのここ数年のことだと思います」と言う。

「今目にしているのは非常に大きな変化で、転換点と言えます。他の国々も後に続いてほしいと思うし、英国やカナダなどでは実例を見ることができます」 (c)AFP/Viken KANTARCI