【5月4日 AFP】昨年のノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞したロシア独立系紙「ノーバヤ・ガゼータ(Novaya Gazeta)」のドミトリー・ムラトフ(Dmitry Muratov)編集長は3日、ロシアによるウクライナでの核兵器使用を正当化するプロパガンダを非難し、核を使えば「人類の終わり」の引き金を引くことになると警告した。

 ムラトフ氏はスイス・ジュネーブで世界報道自由デー(World Press Freedom Day)の行事に出席。記者団に対し「核兵器が使用される可能性を排除できない」と述べた。ノーバヤ・ガゼータはロシアのウクライナ侵攻を受け、活動停止を余儀なくされている。

 ロシア大統領府(クレムリン、Kremlin)は2月24日のウクライナ侵攻開始後間もなく、核抑止力部隊を厳戒態勢に移すよう命じた。西側諸国がウクライナ支援を強化する中、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は戦術核兵器の使用をほのめかし、事実上の脅迫を行っている。

 ムラトフ氏によると、クレムリンの「プロパガンダ部隊」が核兵器の使用をロシア国民に受け入れやすいものにしようと画策している。テレビではこの2週間、「核ミサイル用のサイロ(地下発射施設)を開放すべき」、米国や欧州連合(EU)がウクライナへの兵器供与を続けるならば「核兵器を使用すべき」と論じられている。

 ムラトフ氏は、ロシアのプロパガンダの筋書きに反して、核兵器の使用は「戦争」ではなく「人類」を終わりに導くと警告した。

 さらに、現在のロシアで最も恐ろしいのはプーチン氏が「無制限の絶対的権力」を手にしていることだと指摘。プーチン氏が核兵器を使用すると決断すれば「誰にも止めようがない」と警鐘を鳴らした。(c)AFP