【4月28日 東方新報】中国から米国にパンダが贈られて50年となる今年、米中両国で記念のイベントが開かれている。

 パンダの交流史は、米中国交正常化の歩みと重なる。1972年2月、当時のリチャード・ニクソン(Richard Nixon)大統領が世界を驚かせる電撃訪中をした際、晩餐会でパトリシア(Patricia Nixon)大統領夫人が「私はパンダが大好きです」と話し、周恩来首相が「何頭か差し上げます」と答えたのが始まりだった。

 その年の4月16日、メスの玲玲(リンリン、Ling Ling)とオスの興興(シンシン、Xing Xing)が米国の首都ワシントンにあるスミソニアン国立動物園(Smithsonian's National Zoo)に到着。米国民の間で大フィーバーが起きた。同動物園には現在、メスの美香(メイシャン、Mei Xiang)、オスの添添(ティエンティエン、Tian Tian)、2頭の間に生まれた1歳の小奇跡(シャオチージー、Xiaoqiji)がいる。

 パンダ到着からちょうど50年となる今月16日、スミソニアン国立動物園で記念イベントが行われた。秦剛(Qin Gang)中国駐米大使とブランディー・スミス(Brandie Smith)園長が「50」の数字の入ったケーキに竹の飾りを添えた。

 秦大使は「中国と米国は50年間、パンダの保護について絶えず協力してきた。わずか数百頭だったパンダは半世紀を経て1800頭以上に増え、生物多様性の象徴となっている。これは、中国と米国が手を結べば、世界のために大きな仕事をやり遂げることを証明している」と強調。スミス園長も「パンダは両国の協力関係を示す最高の証拠であり、両国民の友好の使者となっている」と語った。

 中国大使館は動物園にブースを出し、観光客が漢字で「大熊猫(ジャイアントパンダ)」と書く書道体験コーナーを設け、記念品などをプレゼントした。

 あどけない姿が人気の小奇跡は、2020年8月21日に生まれた。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、世界に希望をもたらしてほしい思いが名前に込められている。中国から米国に貸与されている美香、添添と小奇跡は同年12月に貸与期間を迎えたが、期間をさらに3年延長した。米国と中国が人権問題や経済紛争、安全保障などで対立が続く中、「友好の使者」パンダは両国が協調することの重要性を伝えている。(c)東方新報/AFPBB News