【4月28日 AFP】スイス・アルプス(Swiss Alps)の山中で発掘された海生爬虫(はちゅう)類「魚竜」3個体の化石のうちの1個体が、これまで見つかった中で最大の歯を持っていたことが分かった。28日に研究論文が学術誌「古脊椎動物ジャーナル(Journal of Vertebrate Paleontology)」に掲載された。

 魚竜は体の部分が長く、頭の部分は小さい。大きい個体で体重80トン、体長20メートルに成長する。三畳紀前期、約2億5000万年前に現れたが、大型の魚竜は約2億年前に絶滅した。

 恐竜とは異なり、魚竜は化石がほとんど残っていないことが「今なお謎に包まれている理由だ」と、論文の筆頭著者である独ボン大学(University of Bonn)のマルティン・ザンダー(Martin Sander)教授は指摘している。

 3個体の化石は2億500万年前のもので、1976~1990年の調査の際に発掘されたが、最近になって詳しく分析された。

 興味深いのは標高2800メートルの地点で見つかった点だ。3個体は超大陸「パンゲア(Pangea)」周辺の海で暮らしていたが、化石はプレートテクトニクスとアルプスの褶曲(しゅうきょく)により押し上げられた。

 今回、魚竜の中で最大とされた歯について、ザンダー教授は「魚竜の基準からすると巨大だ。根元の直径は60ミリある。これまで見つかった、完全な骨格が残っている個体で最大の歯は直径20ミリだった」と述べた。(c)AFP