【4月28日 AFP】米ツイッター(Twitter)を買収する実業家のイーロン・マスク(Elon Musk)氏(50)はこのほど、同社でコンテンツモデレーション(投稿監視業務)を推進してきたビジャヤ・ガッディ(Vijaya Gadde)最高法務責任者の手法に不満を表明した。「モラルの擁護者」であるガッディ氏の進退問題に発展する可能性が出てきた。

 弁護士でもあるガッディ氏はこれまで、ツイッターでのいじめや、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領の支持者による連邦議会議事堂襲撃事件のような、実社会に害を及ぼす恐れのある投稿への対応を主導。政治広告の削除や、トランプ氏のアカウント凍結などの決定にも関わってきた。

 一方、世界一の大富豪であるマスク氏は「言論の自由絶対主義者」であり続けると明言している。26日には、2020年の大統領選の前にジョー・バイデン(Joe Biden)大統領の息子ハンター(Hunter Biden)氏が海外で行った商取引を報じた米紙ニューヨーク・ポスト(New York Post)の記事の削除に関与したとして、ガッディ氏を非難した。

 マスク氏による買収を受けた社内会議でガッディ氏が取り乱した、と報じた米政治専門メディア「ポリティコ(Politico)」の記事を引用したユーザーの投稿にリツイートする形で、マスク氏は、ハンター氏に関する記事の削除は「極めて不適切」だったと述べた。

 マスク氏はさらに、ツイッターの別の弁護士に関しても、前職の連邦捜査局(FBI)での行いは「相当ひどかったようだ」と指摘するなど、人事刷新をほのめかしている。

 マスク氏はツイッターについて、言論や議論の自由が保証されたデジタル空間と捉え、信頼性を高めていく意向を示している。

 同氏による買収計画が浮上して以降、ツイッターを退会するという宣言を実行に移すユーザーも出てきた。バラク・オバマ(Barack Obama)元大統領のような左派の有名人のフォロワーは、数千人減っている。対照的に、右派政治家のフォロワー数は増加傾向にある。(c)AFP