【4月28日 東方新報】中国では、インターネット上でインフルエンサーが商品をライブで宣伝・販売するスタイルが定着している。口コミを重視する中国文化を象徴しており、最近は手作り食品の販売が人気となっているが、安全性の問題も浮上している。

「うちの畑でとれた新鮮野菜です」「手間暇かけて大きく育てた果物をどうぞ」「無添加で健康に良い食べ物です」。ネット上では手作りをアピールするライブ配信がめじろ押しだ。漬物、干し肉、発酵豆腐、フルーツワイン、ビスケット、ケーキ、漢方茶…。その種類も枚挙にいとまが無い。

 
 商務部によると、ネットライブ販売の市場規模は2021年で2兆元(約39兆円)に迫り、ライブ配信で食品を購入した消費者は55.7%に上る。

 ただ、農家が自家生産の農産物を市場などで直接販売するのとは異なり、ネットを通じて食品を販売する場合は食品生産許可証、流通許可証、経営許可証が必要となる。そうした許可を得ていないライブ販売も横行しており、食品には製造者や成分表示、賞味期限、製造番号などが記載されていないことが目立つ。

 中国メディアによると、ある業者は「やせる漢方茶」と銘打った商品を100~500元(約1960~9800円)で販売しているが、営業許可を得ておらず、パッケージにも基本的な情報を記載していなかった。広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)に住む男性は「純天然、無添加の手作り干し肉」を374元(約7331円)で購入したが、届いた商品は腐りかけており、店名は架空のものだった。防腐剤などを使わなければ当然、腐りやすくなるため、添加物がないことが食品の安全を保証するとは限らない。

 ライブ配信の業界関係者は「食品のライブ販売はユーザーの視覚に訴えることが最も重要。食品の大きさや色などの『映える』面に力を注ぎ、食品の品質や味は二の次という無責任な業者もいる」と打ち明ける。

 中国の食品安全法では、オンライン食品取引の場を提供するプラットフォーム事業者に対し、販売業者の実名登録を行い、安全管理の責任を明確にするよう求めている。中国人民大学(Renmin University of China)で食品安全管理を専門とする孫娟娟(Sun Juanjuan)研究員は「オンライン食品取引の安全性を監督するため、プラットフォームの責任を強化することが必要だ」と強調している。(c)東方新報/AFPBB News