【4月28日 東方新報】中国で「暴汗服」と呼ばれるサウナスーツが最近、話題となっている。「着るだけで汗が大量に噴き出し、あっという間に体重が減る」というふれこみで、「冬の間についた脂肪をすぐに落としたい」と考える人が飛び付いている。

 中国のインターネット上や街角の看板では、「黒科技(ブラックテクノロジー)により体内の代謝効果を高める」「熱サイクルで体の毛穴を効果的に開く」「汗腺を活性化して発汗作用を促進する」といった暴汗服のうたい文句が目立つ。

 販売するメーカーは40社以上。中国大手スポーツブランドの李寧(Lining)や海外勢のアディダス(Adidas)、アンダーアーマー(Under Armour)もサウナスーツを販売している。ライブ配信で商品を販売する複数のインフルエンサーは「暴汗服を着て、すぐにやせた」と宣伝している。

 上海市の王さんは暴汗服を400元(約7840円)で購入。実際に着て運動すると確かに汗がすぐ出たが、めまいがして気分が悪くなった。「水分を補給すると体重は元に戻った。数回使っただけで、今はタンスにしまって吃灰(灰を食べる、ほこりをかぶる)状態です」と苦笑いする。

 専門家は「暴汗服を着るのは、体にラップを巻いて汗をかいているようなもの。人体の3分の2は水分なので汗が出やすいが、電解質を含む水分を補給しながら運動しないと脱水症状や目まい、血液の粘性が高まるなど悪影響が多い」と指摘する。

 暴汗服を手がける中小メーカーは「脂肪の燃焼を促進する」「運動後の安静時代謝(じっとしている時のエネルギー消費量)も変わる」といったPRをしている。だが、山西医科大学衛生管理政策研究センターの程景民(Cheng Jingmin)主任は「体重を減らすには脂肪を燃焼する必要があるが、汗を大量にかいても脂肪の燃焼とは関係ない」と説明。広州体育職業技術学院の体育教師、国瑜(Guo Yu)さんは「安静時代謝は運動、休息、食事の総合的バランスで決まる。暴汗服を着て安静時代謝が高まるという考えは、智商税(IQ税、社会勉強代)を払っているだけだ」と批判する。

 ネット上では「暴汗服は『黒科技』か『智商税』か」と議論となっており、「ダイエットに近道はない」「短時間の運動でやせるというのは幻想」という冷静な意見が目立っている。(c)東方新報/AFPBB News