【4月24日 AFP】23日に行われたボクシング、WBC世界ヘビー級タイトルマッチで、ディリアン・ホワイト(Dillian Whyte、英国)を6回TKOで退けて王座を防衛したタイソン・フューリー(Tyson Fury、英国)は「勝ち取れるすべてのベルト」を勝ち取ってきたと話し、この試合限りでの引退を改めて口にした。

 無敗の王者フューリーは、6回終了間際に強烈なアッパーカットをホワイトに浴びせてTKO勝ちを収め、9万4000人が集まったウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)を沸かせた。

 試合後はファンに向けて、この試合限りでグローブをつるすという当初の予定を貫き、レノックス・ルイス(Lennox Lewis)氏以来のヘビー級4団体統一は断念する方向であることを示した。妻には昨年10月のデオンテイ・ワイルダー(Deontay Wilder、米国)との3戦目限りで引退すると約束していたが、ファンに借りがあったため、母国でもう一度だけ戦ったという。

 フューリーはリングインタビューで、「これがジプシー・キング(フューリーの愛称)にとっての終幕になるかもしれない」とコメントし、「何という去り方だ」と感慨を口にした。そして試合後の会見では「自分は勝ち取れるベルトをすべて勝ち取ってきた。やれることは何も残っていない。このスポーツですべてのベルトを手にしてきた」と話した。

 しかしフューリーは、状況を複雑にする発言も残し、試合後にリングに上がった総合格闘技(MMA)選手で「UFC(Ultimate Fighting Championship)」ヘビー級王者のフランシス・ガヌー(Francis Ngannou、カメルーン)とのファイトが視野に入っていると明かした。

 フューリーは「楽しみたい」と話し、「自分はエンターテイナーで、それが一番の得意分野だ。フランシス・ガヌーとのエキシビションは候補に入っている」とコメント。さらに「ケージかリングか、ボクシンググローブかUFCのグローブか、それらは彼次第で、実現はできるはずだ。彼はモンスターで、自分もそうだから、タイタンの戦いになる」と述べた。

 ではこれで本当に終わりなのか。フューリーは英国史上最高のヘビー級ボクサーになるという誘惑に打ち勝つことはできるのか。本人は「自分はロッキー・マルシアーノ(Rocky Marciano)以来、無敗で引退した2人目のヘビー級として引退する」と話している。

 それでもルイス氏は、フューリーのキャリアはまだ終わっていないと考えている。同氏は、今回の試合でフューリーは「倒すべき男としての地位を力強く保った」とツイッター(Twitter)に投稿。「彼はすでにボクシング界の超名選手入りを果たしているが、私は彼を統一王者の仲間に迎え入れることを楽しみにしている」と続けた。

 フューリーが、同じ英国のアンソニー・ジョシュア(Anthony Joshua)か、現WBAスーパー・IBF・WBO世界ヘビー級王者のオレクサンドル・ウシク(Oleksandr Usyk、ウクライナ)との統一戦に引かれているのは間違いない。フューリーは過去にも、引退を表明しながらのちに復帰したことがある。(c)AFP/John WEAVER