【4月22日 AFP】仏軍は、西アフリカ・マリの仏軍が撤退した基地近くで集団墓地が見つかったとの主張について、ロシア民間軍事企業ワグネル(Wagner)によるでっち上げの可能性が高いとの見方を示し、遺体を埋めるロシア人傭兵(ようへい)の動画もあると主張した。

 動画はドローンで撮影されたもので、AFPは21日に確認した。マリ中部ゴシ(Gossi)の基地付近で、軍服姿の白人が遺体に土をかけていた。

 先に、「元兵士」で「マリの愛国者」を名乗るディア・ディアラ(Dia Diarra)というユーザーが埋められた遺体の映像をモザイク付きでツイッター(Twitter)に投稿。「仏軍がゴシの基地を去る時に残したものだ。黙ってはいられない!」として、仏軍が残虐行為を犯したと非難していた。

 これに対し仏軍参謀本部は、動画を情報戦の一環と呼び、「ワグネルが開設した偽アカウントである可能性が非常に高い」と指摘した。

 さらに「(イスラム過激派掃討を目的とする)バルカン(Barkhane)作戦に参加する部隊の信用を落とすための策略であり、組織的なものとみられる。この数か月に何度も仏部隊に仕掛けられてきた情報戦の典型だ」と主張した。

 米仏は、マリにワグネルの傭兵が派遣されていると指摘しているが、マリ軍事政権は同国で活動するロシア人について、傭兵ではなく「軍事教官」だと主張している。

 仏軍は19日、マリ駐留部隊の撤退の一環として、仏兵300人が駐留していたゴシ基地をマリ軍に正式に引き渡した。

 仏軍参謀本部は、同基地返還後に情報戦が展開される恐れがあると警告していた。(c)AFP