■「生命発生の可能性」

 エウロパの滞留水は氷殻の下5キロの深さに存在する可能性があるが、さらに地中深くにある海に比べれば、はるかにアクセスしやすいと考えられる。

 論文の筆頭執筆者で、スタンフォード大の電気工学専攻博士課程に在籍するライリー・カルバーグ(Riley Culberg)氏は「こうした滞留水が、氷殻の割れ目を上昇した海水である場合は特に、(エウロパの)海洋に生息する何らかの生命の痕跡が残っている可能性がある」と指摘する。

 また地表のより近くに存在する水に、宇宙空間や他の衛星から飛来する「興味深い化学物質」が含まれれば、「生命が存在している可能性」が高まるだろうと研究チームは述べている。

 2024年に打ち上げ、2030年にエウロパ到着を計画しているNASAの探査機「エウロパ・クリッパー(Europa Clipper)」は、グリーンランドの氷床研究チームと同様の氷貫通レーダー機器を搭載する予定だ。だが、調査はフライバイ(接近飛行)で行う予定で、着陸探査は実施しないため、生命の決定的証拠が見つかる可能性は低い。

 エウロパ・クリッパーのプロジェクトチームは公式サイトで、「もしもエウロパに生命が存在したとしても、地球上の生命の発生とはほぼ完全に無関係だ。(中略)これは銀河系全体、さらにはその先の宇宙においても、生命の発生がかなり容易だという可能性を示唆するだろう」と述べている。(c)AFP/Daniel Lawler