【4月21日 AFP】交通事故が原因で13日に死去したサッカー元コロンビア代表MFのフレディ・リンコン(Freddy Rincon)氏。これで、ショッキングな形でこの世を去った1990年代前半のコロンビアサッカー「黄金世代」は4人となった。

 リンコン氏の前には、DFのアンドレス・エスコバル(Andres Escobar)氏とFWのアルベイロ・ウスリアガ(Albeiro Usuriaga)氏がそれぞれ1994年と2004年に射殺され、2002年にはMFのエルマン・ガビリア(Herman Gaviria)氏が練習中に落雷に遭って命を落とした。

 スペイン1部リーグのレアル・マドリード(Real Madrid)やイタリア・セリエAのナポリ(SSC Napoli)でもプレーしたリンコン氏は、コロンビア西部カリ(Cali)で乗っていた乗用車とバスが衝突する事故に遭い、55歳で死去した。16日には葬儀が執り行われ、多くの人がその死を悼んだ。

 同氏を含めたコロンビア最初の黄金世代は、1990年のW杯(World Cup)イタリア大会で28年ぶりの本大会出場を果たし、4年後の米国大会でも予選を突破した。1993年秋にはアルゼンチンを5-0で粉砕し、優勝候補の一角との呼び声も高かった。

 ところが結果はグループステージ敗退。その失敗がエスコバル氏の悲劇につながった。非の打ち所がない振る舞いから「紳士」の愛称で呼ばれたエスコバル氏は、母国に戻ってから数日後、メデジン(Medellin)のバーを出たところで麻薬の売人に撃たれ、27歳の若さで亡くなった。

 動機はエスコバル氏がW杯でオウンゴールを献上したことへの報復とみられており、コロンビアの敗戦で多額を賭けていたカルテルが大きな損失を被ったとのうわさが広まった。当時のメデジンでは、麻薬取引をめぐる暴力が横行していた。

 2004年2月には、当時37歳のウスリアガ氏が、カリの自宅近くにあるナイトクラブで銃弾7発を浴び、命を落とした。当局は痴情のもつれと断定した。

 ガビリア氏は32歳のとき、所属していたデポルティボ・カリ(Deportivo Cali)での練習中に雷に打たれて死亡した。

 黄金世代の他の面々も、波乱の人生を歩んでいる。

 現在55歳になる守護神のレネ・イギータ(Rene Higuita)氏は、女性誘拐事件で身柄の解放に関わり違法に金銭を受け取ったとして、1993年末から1994年1月にかけて投獄された。しかしその後、潔白が証明された。

 リンコン氏もおりの中での生活を経験しており、2007年にパナマの要請で逮捕された。パナマは当時、薬物関連のマネーロンダリング(資金洗浄)に関わった疑いでリンコン氏を捜査していた。リンコン氏はブラジルで収監されたが、数か月後に釈放されて無罪となった。

 アメリカ・デ・カリ(America de Cali)でリンコン氏とチームメートだったアントニー・デ・アビラ(Anthony de Avila)氏も、麻薬取引の罪で昨年末からイタリアで収監されている。(c)AFP