【7月3日 AFP】20年前の1994年サッカーW杯米国大会でオウンゴールを記録し、それから数日後に射殺された元コロンビア代表主将のアンドレス・エスコバル(Andres Escobar)の追悼行事が2日、同国で行われた。

 射殺事件は、当時27歳のエスコバルがW杯でオウンゴールを献上したことに対する報復行為だと広くみなされており、事件は世界中で反響を呼び、コロンビアの悪名高い銃文化にもスポットライトが当たった。

 事件の余波は現在も残っており、さらに今年は4日にW杯ブラジル大会(2014 World Cup)準々決勝のブラジル対コロンビア戦を控えている。

 殺害現場となったメデジン(Medellin)の街ではこの日、試合や追悼行事、花などでエスコバルを悼んだ。式典の1つに参加した兄のサンティアゴ・エスコバル(Santiago Escobar)さんは、「なぜ殺されなければならなかったのか、いまだに理解できない」と話した。

 元コロンビア代表で、同国サッカー史上最大のスター選手だったカルロス・バルデラマ(Carlos Valderrama)氏は、自身のツイッター(Twitter)で哀悼の意を示した。

「アンドレス・エスコバル。いつもわれわれの心の中に。君のやさしさと謙虚さ、戦いを決して忘れない。会いたいよ、ブラザー」

 1994年6月22日、W杯米国大会グループリーグの試合で米国と対戦したコロンビアは、エスコバルがジョン・ハークス(John Harkes)のクロスを誤って自軍ゴールに蹴り込んでしまうと、チームも1-2で試合に敗れ、敗退が決まった。

 試合後にエスコバルは「ここで人生が終わるわけじゃない」とコメントしていた。当時のエスコバルは、イタリア・セリエAの強豪ACミラン(AC Milan)移籍へ向けた交渉を始めていた。

 ところが、試合から10日後の7月2日、エスコバルはメデジンのバーでオウンゴールについて言いとがめられ、外の駐車場で12発の銃弾を撃ち込まれて殺された。近くにいた人は、一発ごとに「ゴール」という声がするのを聞いたという。(c)AFP/Ariela NAVARRO