【4月24日 AFP】ウクライナ人の学者で詩人のナザール・ダンチシン(Nazar Danchyshyn)さん(30)は、オンラインでウクライナ語を教えている。

 ウクライナでは相当数の少数派が、ロシア語を母語としている。特に東部と南部ではロシア文化の影響を受けて育ち、流ちょうなロシア語を話す人が多い。

 だが近年、ロシア政治に対する拒否を示すために、言語上のアイデンティティーを切り替える人が増えている。ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領がウクライナの「非ナチ化」を唱え、ロシア語話者の保護を口実に2月末、ウクライナ侵攻を開始して以降、この傾向はいっそう強まっている。

 ウクライナ語話者が圧倒的に多い西部の都市リビウ(Lviv)では、ウクライナ語の会話能力を磨きたいという人々を対象に、知識人グループが無料のオンライン授業を実施している。

 主催者によると、わずか3日間で1000人の申し込みがあったが、これまでのところ生徒約800人分の講師しか確保できていない。

 ダンチシンさんは「よく聞くのは、祖父母や曽祖父母はウクライナ語を話していたが、(ソ連の下で)両親の世代にロシア語に切り替えたという話だ」と言い、「母語に戻したいという人がたくさんいます」と続けた。

「将来、私たちみんながウクライナ語を話すようになれば、侵略に対する非常に強力な武器になる」

 生徒の一人、研究者のウォロディミル・クラスノポルスキー(Volodymyr Krasnopolsky)さん(52)は、東部の都市ルガンスク(Lugansk)の出身でロシア語話者だ。

「ウクライナ語を学ぶことは私にとってとても大切です。自分の家族はロシア語話者のウクライナ人ですが、ウクライナ語を話せれば、侵略者に守ってもらう必要はない、私には自分の国があるのだからということを示せます」

「ウクライナという国は今、形成されつつあるのだと思います。個々人の出自に関係なく」とクラスノポルスキーさんは語った。