【4月15日 東方新報】新型コロナウイルス対策のため3月28日から封鎖管理などをしている中国・上海市では、6000社近い日本企業が活動している。日本企業をサポートする日本貿易振興機構(JETRO)上海事務所の水田賢治(Kenji Mizuta)所長は東方新報(Dongfangxinbao)のインタビューに「上海市のコロナ対策に協力し、日常を取り戻すため努力している」と語った。

 ジェトロ上海事務所は市内の感染状況に応じて3月15日から原則在宅勤務とし、事務所に通うのは水田所長ら一部のスタッフに限定。3月28日に上海市の中心を流れる黄浦江(Huangpu River)の東側(浦東地区)で封鎖管理が始まって以降、全員を在宅勤務にした。事務作業は基本的に順調に進んでおり、上海市や江蘇省(Jiangsu)、安徽省(Anhui)、浙江省(Zhejiang)といった華東地区の日商俱楽部、日本人会と連絡を取り、各企業の現状把握と問題解消に取り組んでいる。

 1999年から2006年まで7年2か月にわたり上海事務所で勤務し、1回の海外駐在期間としてジェトロの最長記録となった水田所長。2017年から大連事務所所長、2020年9月に上海事務所所長となり、通算の中国滞在歴も10年を超える。

 水田所長は「昨年末の上海市商務委員会の統計によると、上海では約5600社の日本資本の企業が事業を行っています。新型コロナ対策の管理措置により大半の工場が生産を停止し、1日で数億円規模の売り上げを失っている企業もあります」と苦境を説明。上海在住の日本人には食料や日用品の備蓄を呼びかけていると同時に、「物資の不足で心身のストレスも日々高まっているので、各地の住民団体、行政組織の支援を希望しています」と話す。

「新型コロナは予防と管理が非常に厳しく複雑なもの。上海市の対策に積極的に協力している」と話す水田所長。「上海市全域を管理する決定は非常にタイムリーであり、市全体が一丸となって流行の拡大を早急に抑制する必要があります」と理解を示す。

 国内外で懸念されている経済への影響について、「世界と日本の経済界が上海の動向に注目している。華南地区の日系企業は生産に必要な部品の多くを、上海市及びその周辺都市からの供給に頼っている。現在の大規模な物流の停滞は、企業の生産と運営に困難をもたらしています」と説明。その上で「ジェトロは、中国の巨大な市場が確固たるものだと信じています。一緒に新型コロナと戦い、日常を取り戻す努力をしていく中で、日系企業が生産と運営を再開する条件を作り出していきたい」と強調した。(c)東方新報/AFPBB News