【4月14日 AFP】ウクライナ東部ルガンスク(Lugansk)州セベロドネツク(Severodonetsk)では13日、いつものように砲撃が続いていた。爆発音が近くで聞こえると、マリアさんは6歳の息子マキシム君を抱きしめた。

 夫と義母と住む家には電気も水もない。

「でも、ここにいたい。家を離れてどこに行くというのか」

 セベロドネツクはウクライナ軍が現在も掌握する街としては最東端にあり、ロシア軍の主な標的になっている。かつて10万人が暮らしていたが、今やほぼ誰もいない。

 さらに爆発音が聞こえた。「爆撃? いつもこんな感じだ」とマリアさんは言った。

 ルガンスク州のセルヒー・ハイダイ(Sergiy Gaiday)知事によると、セベロドネツクでは侵攻開始以降、民間人400人が死亡し、埋葬された。

 ここ数日間は、ウクライナ・ロシア両軍の砲撃戦となっており、前線は動いていない。

 市街から森へと続く広い通りには、物資を探し求め出歩く数人の姿があった。森にはロシア軍がいる。

 女性と連れ立って歩いていた高齢のユーリさんは「飲み物を探している。こちらの女性はパンを買いに来たが、売っていない」と話した。

「私もとても怖い。でも、70歳だから、そんなそぶりは見せないようにしている」

 ユーリさんは関節痛の薬が必要だが、「医師も看護師もおらず、薬局も全て閉まっている」と述べた。

 州知事は、ウクライナ政府が掌握する地域から避難するよう呼び掛けている。

 避難希望者の集合場所となっているセベロドネツクの文化センター前には、黄色い小型バスが止まっていた。集合場所には6人いた。

 タマラ・ヤコベンコ(Tamara Yakovenko)さん(61)は83歳の母親と一緒に来た。「避難しなければ。ここではいつも地下壕(ごう)にこもっていた。10分、15分置きに爆撃がある」と語った。

「以前は人道支援物資がもらえたが、今ではみんな私たちのことは忘れてしまった。外で火をたいて料理しようとする人もいる。ドーン、ドーンと音がして…、地下壕に逃げ込む羽目になる。朝まで一晩中、休まる暇がない」(c)AFP/Emmanuel PEUCHOT