【4月13日 AFP】ウクライナの首都キーウ近郊のホストーメリ(Gostomel)で12日、ロシアによる「戦争犯罪」に関する捜査が始まる中、仮埋葬されていたユーリー・プリリプコ(Yuriy Prylypko)町長の遺体が検視のために掘り出された。

 町によると、プリリプコ氏はロシア軍が町に侵攻した後の3月7日、食料や医薬品を配布していた際に撃たれて死亡した。

 ペトロ・パブレンコ(Petro Pavlenko)司祭は、プリリプコ氏は「素晴らしい愛国者で素晴らしい男だった」「愛されていた」と語った。

 プリリプコ町長の遺体を手押し車で運び、仮埋葬を執り行ったのもパブレンコ司祭だった。教会と町役場の間に仮の墓地が設けられていた。

 AFPはこの日、町長の他、仮埋葬されていたホストーメリ住民の遺体が掘り出され、収容されたのを確認した。

 作業員は幅広のロープを使い、町長の遺体を土の中からつり上げた。警察は頭部の傷などをビデオ撮影した。

 町長の知人ら約30人が神妙に作業を見守る中、妻のワレンチナさんはむせび泣いた。遺体はくしゃくしゃの黒い収納袋に入れられ、車に積み込まれた。

 首都キーウを目指したロシア軍は、ホストーメリで撃退されたが、ウクライナ側の代償も大きかった。

 掘り出しに立ち会った州検察のアンドリー・トカチ(Andriy Tkach)氏は「町当局の集計では最大400人が行方不明になっている」と話した。

「戦時検察官」と書かれたベストを着用したトカチ氏は、「予備的な情報によると、彼(町長)は運転手と共に、理由もなく撃たれたようだ」と語った。

 町長をはじめとするホストーメリで収容された遺体は、近くの村ブチャ(Bucha)に運ばれ、検視と正式な葬儀が行われるまで冷蔵トラックの中で保管される。

 冷蔵トラックの中にはすでに30〜40に上る遺体袋が並んでおり、さらに2台の冷蔵車が待機している。

 トラックに遺体を運び入れたイーホル・カルピシェン(Igor Karpishen)さん(46)は「こんなことはこれまでにしたことがない。ただ、わたしたちの人々が殺されたのであり、われわれは全ての人たちを適切な方法で埋葬しなければならない」と話した。

 カルピシェンさんは「この感情を表す言葉を持ち合わせていない」と述べた後、「安らかに」と言いながら、冷蔵トラックの扉を閉めた。(c)AFP/Joe STENSON