【4月12日 AFP】メキシコの首都メキシコ市西部の石油精製所跡地に並んだ何万個もの使用済みのガスボンベが、太陽に照らされている。辺りにはガス臭が立ち込め、近隣住民は日常生活が悪夢と化したと訴える。

 近くに住むウェブプログラマーのセサル・リベラ(Cesar Rivera)さん(37)はAFPに対し、毎晩のように妻とアパートから避難すると話す。「夜は臭いが強くて耐えられない。ガスコンロがきちんと消えていないような臭いだ」

 リベラさん夫婦は、放置されたボンベから漏れた液化石油ガス(LPG)で爆発が起きたり、健康に影響が出たりすることも心配している。

「アパートの管理会社に、臭いが強い時はたばこを吸ったり、コンロを使ったりしないよう言われている。生活が一変してしまった」と話した。

 ガスボンベが保管されているメキシコ石油公社(PEMEX)の精製工場跡地を空から見ると、色とりどりのボンベの墓場が住宅街の真ん中にあるように見える。

 ボンベは、国営企業ガス・ビエネスタル(Gas Bienestar)が保管しており、古くなったり破損したりしたものを無料交換したため、大量にボンベを抱えることになった。

 メキシコ市当局は1月、PEMEXがボンベの撤去を進めていると発表していた。

 AFPは同社に取材を申し込んだが、この件に関しては取材に応じられないとの返答を得た。

 近所の消防署によると、毎日のようにガス漏れの通報があるが、実際には臭いの元は放置されたボンベだという。

 精製所跡地の隣で木工所を営むフアン・マシアス(Juan Macias)さん(44)は、うだるような暑さになるが、午後には窓を閉めて作業すると話す。臭いの影響で吐き気とひどい頭痛がするという。

「当局は心配することはないと言う」「だが、ここに住む人はみんな、何らかの危険があると思っている。だから、臭いが強い時は爆発が起きないよう、火は使わないようにしている」 (c)AFP/Jennifer Gonzalez Covarrubias