【4月12日 AFP】ロシア下院のビャチェスラフ・ウォロジン(Vyacheslav Volodin)議長は11日、ウクライナ侵攻に反対する「裏切り者」の市民権を剥奪することを提案した。例として、政府系テレビ局の番組に「戦争反対」のメッセージを掲げて乱入した女性を挙げた。

 ウォロジン氏はメッセージアプリのテレグラム(Telegram)で、「ウクライナでの特別軍事作戦について、大多数の国民は国と国民の安全のために必要だと理解し、支持しているが、臆病な裏切り者もいる」と指摘。「残念ながらそうした『ロシア連邦の国民』から市民権を剥奪したり、入国を禁止したりできる手続きは存在しないが、導入した方がよいのかもしれない」とし、フォロワーに是非を問うた。

 ウォロジン氏は、先月、政府系テレビ局「第1チャンネル(Channel One)」のニュース番組に乱入し、英語で「戦争反対」と書かれた紙を掲げたマリーナ・オフシャンニコワ(Marina Ovsyannikova)氏を引き合いに出した。オフシャンニコワ氏は同局の職員だったが、辞職し、ドイツ日刊紙ウェルト(Die Welt)のウクライナ・ロシア担当特派員となった。

 ウォロジン氏はオフシャンニコワ氏について「今度は北大西洋条約機構(NATO)加盟国のために働き、ウクライナのネオナチ(Neo-Nazi)への武器供与を正当化し、外国人傭兵(ようへい)を送り込んでわが軍の兵士と戦わせ、対ロシア制裁を擁護しようとしている」と述べた。

 市民権剥奪といった強硬手段はウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が承認しない限り実施される公算は小さい。ただ、ウォロジン氏の発言は、ロシア国内でウクライナ侵攻への反対意見を敵視する風潮が強まっていることを浮き彫りにしている。(c)AFP