■開封した手紙には…

 シュナイデルさんの友人らは、ビートルズファンが集まるネットの掲示板に動画を投稿。シュナイデルさんのアルバムを購入した人がいたら、手紙を返してくれるよう依頼した。動画はすぐに拡散され、国内メディアにも取り上げられた。

 昨年9月、1人の男性がアルシオーネさんに電話をかけてきた。シュナイデルさんがレコードを売りに出した頃、レアな中古レコードを何枚か購入したが、まだ中身を開けていないという。自身もコロナで息子を失い、うつ病と闘っていた。

 男性は、レコードを確認してみると約束した。

 そして12月、バルバラさんは再び電話をかけてきた男性とナタールで会うことになった。男性はシュナイデルさんが所有していたジョン・レノン(John Lennon)のアルバム「イマジン(Imagine)」と共に、中に入っていた3通の手紙を渡した。

 バルバラさんは、今年3月の誕生日にアルシオーネさんが隣で見守る中、父親からの手紙1通を開封した。

「パパは、ママのことをとっても愛していると書いていました。ビートルズについても書いていて、ポール・マッカートニー(Paul McCartney)はまだ生きているかなって」とバルバラさんは泣き笑いしながら話した。

 手紙の終わりの方では文字のインクがかすれ、メッセージは唐突に終わっていた。まるでシュナイデルさんの最期のようだった。

 だがバルバラさんは「手紙をもらって、ものすごくうれしかった」と語る。「私たちはさよならを言えなかったけれど、この手紙でまたパパに会えました」 (c)AFP/Joshua Howat Berger