散乱する遺体、血まみれの人々… ウクライナ駅攻撃の現場
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【4月9日 AFP】ウクライナ東部クラマトルスク(Kramatorsk)で8日に起きた鉄道駅への攻撃は、東部を逃れようとする大勢の人で駅が連日混雑する朝の時間帯に発生した。
駅は2発のミサイルにより攻撃され、子ども5人を含む少なくとも50人が死亡。現場には、人体の一部や荷物、ぬいぐるみが散乱した。
放置された荷物の中から自分のパスポートを捜していたナタリアさんはAFPに、「私は駅内にいた。爆発のような音が2回聞こえて、身を守るために壁に駆け寄った」と語った。「血まみれの人々が駅に入ってきて、地面のあちこちに人が横たわっているのを見た。けが人か遺体かは分からなかった」
駅の外では、民間人の服を着た約30人の遺体がシートに覆われて売店横に置かれ、地面には血だまりが残っていた。赤いタートルネックを着た女性は涙を流しながら、「夫を捜している。ここにいたが、連絡が取れない」と説明。震えながら携帯電話を耳元に持ち、遺体に近づくのをためらっていた。
クラマトルスクは、今週ロシア軍の空爆を受けたことを除いては、ウクライナ東部の他都市が受けたような大きな被害は免れていた。だがロシア軍が間もなく東部に攻勢をかけるとの懸念から、多くの人が避難を開始。地元ドネツク(Donetsk)州の検察当局によると、攻撃発生時、駅には女性や子どもを中心に約4000人の民間人がいた。
■ミサイルに親ロ派のスローガン
駅の外では、焼け焦げた車4台の横に緑色のミサイルの残骸があり、その周辺には規制線が張られていた。現場の警官はAFPに、「あれはトーチカ(Tochka)ミサイルで、破片爆弾だ」と語り、「サッカー場ほどの範囲で複数回爆発する」と説明。AFP取材班は現場で少なくとも4か所の着弾点を確認し、小さく鋭利な鉄の輪を見つけた。
ミサイルの残骸には、ロシア語で「われわれの子どもたちのために」と白い塗料で書かれていた。これは親ロシア派武装勢力がしばしば使う表現で、2014年から東部ドンバス(Donbas)地方で続く紛争で親ロ派側が払った犠牲に言及している。
ロシアは攻撃への関与を否定し、ウクライナ政府が実行したと主張している。(c)AFP/Hervé BAR