【4月8日 AFP】欧州サッカー連盟(UEFA)は7日、従来のファイナンシャル・フェアプレー(FFP)に代わる新たなライセンスおよび「持続可能性」のレギュレーションを承認した。これにより、各クラブはこれまでよりも大きな損失を認められるようになる一方、人件費や移籍金に上限が課される。

 UEFAは予想されていた通り、欧州全体で急増しつつあるクラブの負債を減らすために2010年に導入されたFFPの見直しを決断した。

 マンチェスター・シティ(Manchester City)やパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)といった国家を後ろ盾とするメガクラブの出現によって、FFPは限界を露呈していた。その一方、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)による巨額の損失で、資金力が乏しいクラブは運営する余裕がなくなっていた。

 執行委員会の会合を終えたUEFAのアレクサンデル・チェフェリン(Aleksander Ceferin)会長は「選手の賃金と移籍金に関して、より良いコスト抑制をもたらすスカッド・コスト・ルールの導入が最大のイノベーションになるだろう」とコメントした。

 これによって各クラブは、3年間に報告できる損失額がこれまでの3000万ユーロ(約40億5000万円)から6000万ユーロ(約81億円)に増え、「財政状態が健全な」クラブに関しては9000万ユーロ(約121億円)までとなる。

 しかし今回の規制緩和は、人件費の新たな上限設定もセットになっている。

 UEFAには55の加盟協会があり、欧州連合(EU)や各国の労働法や競争法に対応しなければならないため、北米スポーツのような特定のサラリーキャップを導入する可能性は一切なかった。

 しかし、UEFAの新規則によって、クラブは2025-26シーズンまでに選手やスタッフの人件費、移籍金、代理人への手数料の支出を総収入の70パーセント以内に抑えなければならなくなる。

 2023-24シーズンは収入の90パーセント、2024-25シーズンは収入の80パーセント、その後は70パーセントと、現在の契約が失効すると上限は下がっていく。(c)AFP/Coralie FEBVRE