【4月7日 AFP】エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は6日、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と対話を重ねながら何の成果も得られていないとポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ(Mateusz Morawiecki)首相に批判されたのを受け、反論に打って出た。ロシアへの対応をめぐり場外戦にもつれ込んだ形だ。

 モラウィエツキ氏は4日、ウクライナに侵攻したロシアに対する一部の欧州連合(EU)加盟国の対応を批判。特にマクロン氏については「プーチン氏と何回交渉して何を得たのか」として、「犯罪者とは話し合いや交渉を行うべきではない。戦わなければならない」と語った。

「(ナチス・ドイツ〈Nazi〉の総統アドルフ・)ヒトラー(Adolf Hitler)と交渉した者はいなかった。ヒトラーや(旧ソ連の独裁者ヨシフ・)スターリン(Joseph Stalin)、(カンボジアの独裁者)ポル・ポト(Pol Pot)とも交渉するのか」と息巻いた。

 ロシアと対峙(たいじ)しているEUの結束を弱めかねないこの発言について、マクロン氏は仏民放テレビTF1で「根拠のない中傷だ」と反論。モラウィエツキ氏は「極右政党」に属しているとし、10日に実施される仏大統領選に向けてマクロン氏を追い上げている極右政党「国民連合(RN)」党首のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)氏を「支持している」と決め付けた。

 その上で、「戦争を回避し、欧州の平和に向けた新たな枠組みを構築するため、フランスの名において数年前からロシア大統領と協議を重ねてきたが、そのことについて私は全責任を負う」と述べた。

「(ロシア側との対話は)就任当初から行ってきた」ことであり、「私は他の誰かのように甘い考えは持っていないし、(ロシア側に)くみしたこともない」と強調。ルペン氏率いる国民連合はロシアの銀行から融資を受け、今も返済を続けているとし、同氏とロシアとのつながりに話題を変えた。(c)AFP