【4月6日 AFP】トルコのイスタンブールで3月29日に行われた、ロシアとウクライナによる停戦交渉に意外な人物の姿があった。サッカーイングランド・プレミアリーグのチェルシー(Chelsea)のオーナーを務めるロシア人富豪、ロマン・アブラモビッチ(Roman Abramovich)氏だ。

 アブラモビッチ氏は長年、ロシア政府と友好的な関係を維持しつつ、西側諸国を飛び回る生活を続けてきた。なぜ停戦交渉に参加したのだろうか。

■交渉での役割は

 トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は「アブラモビッチ氏はロシア側代表団の一員として交渉に参加した」とし、ロシア政府から信用されているあかしだと述べた。

 やはりトルコのメブリュト・チャブシオール(Mevlut Cavusoglu)外相は、アブラモビッチ氏は侵攻初期から和平を真摯(しんし)に求めており、交渉でも「有益な」貢献を果たしたと評価した。

 ロシアのドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は、アブラモビッチ氏の参加について、代表団の正式メンバーではないが、ロシア、ウクライナ両国の同意を得ていると説明した。

 アブラモビッチ氏をめぐっては、さらに意外な展開を見せた。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が先月28日、同氏が毒を盛られた疑いがあると報じたのだ。

 同氏は3月初め、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領と面談するため首都キーウを訪問した際、毒を盛られ、一時的に視力に影響が出たという。