【4月5日 CNS】中国では近年、インターネット上のインフルエンサーがライブ配信で特定の商品を紹介し、ユーザーが購入するというスタイルが定着している。そんな中、インフルエンサーが企業と求職者を仲介する「求人ライブ配信」も増加している。

「私の専攻は国際貿易です。関連する仕事はありますか」「育児で2年間働いていませんが、仕事に応募できますか」「具体的な仕事内容と待遇を教えてください」

 インフルエンサーの「放送室」にいる企業の人事担当者と求職者が画面越しに話し合う。中国では春の採用のピーク期を迎えており、コロナ禍の影響で「求人ライブ配信」を取り入れる企業が増えている。医薬、貿易、流通、機械、IT、広告など業種は多彩だ。

 求人ライブ配信では、インフルエンサーによる進行のもと人事担当者が会社の概要、仕事内容、給与などを説明。会社の職場から生放送することもある。求職者はライブ配信の指示に従って履歴書を送信すれば、すぐにオンライン面接ができる。交通費や時間の手間が省ける上、さまざまな仕事を手早く選択できる。

 雲南省(Yunnan)大理市(Dali)に住む1970年代生まれの張英(Zhang Ying)さんは、2時間足らずで5社と面接。「ちょっと試してみるつもりだったが、こんなに便利とは思わなかった。最も待遇が良い会社を選びました」と喜びの声をあげる。

 四川省(Sichuan)のサービス会社人事担当の劉宇(Liu Yu)さんは「コロナ禍で対面形式の就職説明会が制限される中、求人ライブ配信は広がっている」と説明。一方で「管理職や技術職の採用は従来の対面形式とは切り離せない。オンラインより直接話し合いたい求職者も多い」と話す。

 甘粛省社会科学院公共政策研究所の馮楽安(Feng Le’an)副所長は「求人ライブ配信は新しい雇用契約のスタイルとして広がっていくだろう。それと同時に虚偽の情報を流すことを禁じ、求職者の権利の保護・監督を強化する必要がある」と指摘している。(c)CNS/JCM/AFPBB News