【4月5日 AFP】ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ郊外ブチャ(Bucha)で、民間人とみられる複数の遺体が発見されたが、4日に公開された衛星画像でもその存在が確認された。責任を否定するロシア側の主張に矛盾があることが明らかになった。

 米宇宙技術会社マクサー・テクノロジーズ(Maxar Technologies)が3月半ばに撮影した衛星画像では、ブチャの路上や路肩に複数の遺体があることが確認できる。

 マクサーの広報担当者スティーブン・ウッド(Stephen Wood)氏は4日、「ブチャを捉えた高解像度の衛星画像は、これまでにSNS上に投稿された、遺体が道路に転がり、数週間野ざらしになっていたことを示す動画や写真と一致している」と語った。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、ブチャのヤブロンスカ(Yablonska)通りの状況について詳細な検証記事を掲載。通りに沿って遺体が横たわっている様子が捉えられた、4月1日と2日に撮影された動画と衛星画像を比較し、遺体の多くは、ブチャがロシア軍の占領下にあった少なくとも3週間前から放置されていたと結論付けた。

 ロシア国防省は、ロシア軍は「3月30日にはブチャから完全に撤退した」として、責任を否定。ロシア大統領府も、ブチャの写真や動画はウクライナ側の「でっち上げ」だとしている。

 ロシアのワシリー・ネベンジャ(Vassily Nebenzia)国連大使も4日、ブチャで撮影された遺体について、ロシア軍撤退前にはなかったと記者団に述べた。

 大使は「遺体は突然、路上に現れた。一人また一人と、道路の左右に置かれた。一部は動いていたり、息をしたりしていた」と指摘。「ウクライナ側が情報戦争を仕掛けた」と強弁した。

 しかし、3月19日と21日に撮影されたマクサーの衛星画像では、ヤブロンスカ通りに複数の遺体が確認できる。

 ニューヨーク・タイムズの検証記事によると、3月9~11日に人間と同じ大きさの黒っぽい影が衛星画像の中に現れたもようだ。

 こうした衛星画像に捉えられている遺体の多くが、ウクライナの地元自治体職員や国際報道機関が撮影した遺体の位置と正確に一致している。(c)AFP