■復活を願う声

 現在では、数十の村からなるチェティナード地方は衰退し、チェンナイ(Chennai)市が南インド経済の中心地となっている。

 それでも往年の居住者の子孫や、旧豪邸の匠(たくみ)の技を絶賛する建築家たちの思い入れもあり、豪邸群保存に向けての動きが見られるようになった。

 宿泊施設「チェティナードマンション(Chettinadu Mansion)」のオーナー、A・チャンドラモウリ(A. Chandramouli)氏(84)は「新しい世代は収入も多く、このような資産に興味を持っています」と語る。「私は近々復活すると期待しています」

 午後の日差しを浴びたタイル敷きの中庭でアンティークの椅子に腰かけながら、「彼らはこれからの世代のために、このユニークな遺産を保存したがっています」とチャンドラモウリ氏は思いを述べた。

 敷地面積3700平方メートルのチェティナードマンションは歴史遺産リゾートとして改修され、インドの映画界「ボリウッド(Bollywood)」作品のロケ地としても利用されている。

 バルコニーから自撮りを何枚も撮っていた旅行者のマリニ・バラシー(Malini Bharathy)さんは「未来の世代が見て、当時の暮らしをしのぶためには、こうした屋敷を修復する必要がありますね」とAFPに語った。「私の息子や孫もここに来て楽しみ、よく味わってほしいと思います」 (c)AFP/Abhaya SRIVASTAVA