【4月1日 AFP】女子テニス、四大大会(グランドスラム)通算4勝を誇る大坂なおみ(Naomi Osaka)は、マイアミ・オープン(Miami Open 2022)で初めて決勝進出を果たし、喜びの涙を流した直後に別のことに気を取られていた。

 最近は感情の起伏に振り回され、前週のBNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2022)ではやじを飛ばされて激しく動揺していた大坂は、この日の準決勝で東京五輪女王のベリンダ・ベンチッチ(Belinda Bencic、スイス)を4-6、6-3、6-4で下し、終始笑顔を絶やすことはなかった。

 決勝では絶好調を維持する新世界女王のイガ・シフィオンテク(Iga Swiatek、ポーランド)と激突することが決まったものの、何よりも頭の中を占めていたのは、2021年の全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2021)以来となるトロフィー獲得よりも夕食の調達方法だった。

 試合後には見るからに感極まっていた大坂は、「プロらしくない答えとプロらしい答えをすると、正直なところ韓国料理のデリバリーをどうやって自分の所まで運んでもらおうか考えている。施設内に引き渡し場所がどこにもないから」と笑顔で話し、「だけど、試合に関して言えば、勝ち抜けてうれしい」と語った。

 昨年の全仏オープン(French Open 2021)で自身のメンタルヘルス問題を公表し、1試合プレーしただけで大会を棄権して、その後テニスから距離を置いて休養を取っていた大坂は、インディアンウェルズ(Indian Wells、BNPパリバ・オープン)での出来事でセラピストの助けを借りていたものの、今大会ではかなりリラックスして集中力も発揮しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)で気分転換を模索する必要がある中で、今のところはコート内外で楽しく過ごしている。

  大坂は「全仏オープンで何も告白していなかったら、自分の問題を分かってくれる人がいたとは思えない」と話し、自身のメンタル問題について「今に始まったことではない」とコメント。「人は私に『戻ってきたね』と言うけれど、実のところ離れていたとは思っていない。ずっとこんな選手だった」と語った。

「自分の思いに押しつぶされそうなときもある。特に今回はそう。決勝にはずっと進出できていなかったし、こうした大きな大会では久しぶりのことだから」

 現在世界ランキング77位に後退している大坂がシフィオンテクと対戦したのは、2019年ロジャーズ・カップ(Rogers Cup 2019)の1度だけで、このときは大坂が勝利している。

 シフィオンテクはもう一つの準決勝で第16シードのジェシカ・ペグラ(Jessica Pegula、米国)に6-2、7-5で勝利。今シーズンはWTA 1000大会のカタール・オープン(Qatar TotalEnergies Open 2022)とBNPパリバ・オープンで優勝し、20歳にして女子世界ランク1位到達が決まっている。(c)AFP/Steve Brenner