世界の妊娠、半数が意図せず 国連「人権危機」に警告
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【3月31日 AFP】国連人口基金(UNFPA)は、30日に公表した今年の「世界人口白書」で、世界の妊娠の約半数が意図しないものであることを明らかにした。この状況を「人権危機」と呼び、ロシアのウクライナ侵攻で事態はさらに悪化する恐れがあると警鐘を鳴らしている。
UNFPAは、150か国で2015〜19年にあった意図せぬ妊娠と人工中絶の割合を分析。世界では毎年1億2100万件、1日平均33万1000件の意図しない妊娠が起きており、うち中絶に至るのは6割以上で、その半数近くが危険な処置だった。
意図しない妊娠はすでに「驚くべき」数に上っているが、ウクライナ侵攻などの紛争で性暴力が増え、避妊手段が失われることにより、さらに増加する恐れがあるという。
UNFPAのナタリア・カネム(Natalia Kanem)事務局長はAFPに対し、ウクライナでは妊婦たちが胎児のために十分な栄養が取れないと訴えていると説明。人身売買などに関わる犯罪者も「戦争の悲劇を女性や少女を狙う機会と捉えている」と指摘した。
さらに新型コロナウイルスの世界的大流行では、医療の提供や避妊具の供給が大きく妨げられたため、最初の1年間だけで最大140万件の意図しない妊娠が起こったとされる。
白書によると、毎年700万人の女性が危険な中絶方法を試みた後に入院しており、妊婦の主な死因の一つとなっている。記者会見したトルコの医師は、望まない妊娠をしたために危険な中絶を行い死亡した女性を何人も治療してきたと語った。「ある女性は編み棒を使って自分で中絶をしようとした。また別の女性はマッチを使って流産しようとした」
UNFPAは今回の白書について、男女格差や貧困、性暴力、避妊・中絶手段の欠如が組み合わさり、女性から「妊娠するかしないかという、人生を最も大きく左右する生殖に関する選択権」を奪っている現状を示すものだとしている。(c)AFP