【4月2日 AFP】ウクライナ第2の都市ハリコフ(Kharkiv)5区のサルティウカ(Saltivka)は今やゴーストタウンと化し、黒いがれきが積み上がり、遊び場のブランコは押しつぶされ、爆撃を受けたアパートは骨組みが見えている。

 ロシア軍の空爆が激しさを増し、住民の大半は町から避難した。残っているわずかな住民は、高齢者か病人、障害のある人ばかりだ。

 つい1か月前まで学校だった建物の内部は、暗くじめじめしている。暖房の配管に頭をぶつけないように、身をかがめなければならない。

 ろうそくの明かりに照らされた薄暗がりに人影が浮かぶ。学校机の前で放心し、彫像のように動かない老人。教室で使用されていたベンチで毛布をかぶって身を寄せ合う人々。何日も外に出ていない住民はやつれ、顔色も悪い。

 ここでは20人ほどが暮らしている。身の回りのものを少しだけ自宅から持ち出してきた人もいるが、食料は、危険を承知で活動しているボランティアの人々に頼っている。停電が起きると、地下で火をたいて調理する。

 学校の前に落ちてきたロケット弾で、住民2人が亡くなった。退役軍人のローマンさん(38)は、運動場の壁に残った乾いた血痕を指さした。

 この中では珍しく若いバディムさんは、「どこに行けばいいのかも、ここからどうやって出ればいいのかも分かりません」と語った。

 地下室で避難生活を送る住民の家族や親類には、アパートの階段を下りられないほど体が弱っているか、病気のために自宅から動けない人々もいる。(c)AFP/Herve BAR