【3月30日 AFP】ロシア大統領府は29日、富豪のロマン・アブラモビッチ(Roman Abramovich)氏がウクライナをめぐる停戦交渉参加中に毒を盛られた疑いがあるとする報道を否定した。一方で、同氏が仲介役を務めていることは認めた。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は28日、アブラモビッチ氏とウクライナの交渉代表団が、両国間の停戦交渉を妨害しようとするロシアの強硬派により毒を盛られた疑いがあると報道。AFPが取材した関係筋も、事実と認めていた。

 これについてドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は翌日の記者会見で、「情報妨害の一環、情報戦の一環」であり、現実に即していないと一蹴した。

 ウクライナ代表団のミハイロ・ポドリャク(Mykhailo Podolyak)大統領顧問は、この件に関する見解を示していない。

 一方でペスコフ氏は、ロシアの他の新興財閥(オリガルヒ)と共に西側諸国の制裁対象となっているアブラモビッチ氏が、トルコのイスタンブールで29日に始まった停戦交渉に参加していることは認めた。

 ペスコフ氏によると、アブラモビッチ氏はロシア代表団の公式メンバーではないが、「ロシア、ウクライナ間の接触を維持する」ことに関与。この役割には双方の承認が必要となるものの、「アブラモビッチ氏については、承認が得られている」としている。(c)AFP