【3月30日 東方新報】中国の工業情報化部と国家市場監督管理総局は、贈答品に使われる月餅とちまきの包装について、過剰なパッケージや貴金属の使用を禁止する方針を打ち出した。

 中国では、旧暦の端午節(今年は6月3日)にちまき、中秋節(同9月10日)に月餅を食べるのが伝統で、友人や知人、取引先などに贈り物として渡すのが習慣だ。贈答品の中には見た目を豪華にするため、箱に貴金属や高級木材を使ったり、何重にも包装したりするものも多い。

 箱を開けて包装紙を何枚もとると小さな月餅があるだけという商品もあり、「包装は一流、中身は三流」と揶揄(やゆ)されている。また、相手の歓心を誘うため、ちまきに高級ワインや茶葉などをセットにした商品もある。

 今回の方針では、「月餅とちまきの包装は3層以下とする」「包装に貴金属や高級木材のマホガニーを使わない」「月餅と他の商品をセットにしない」「ちまきと高価な商品と抱き合わせにしない」「包装コストは販売価格の20%以下にする」と細部にわたり厳格な方針を示した。今年の8月1日から適用する。

 国家市場監督管理総局は昨年8月、菓子や茶、酒、健康食品など31種類の食品と16種類の化粧品を対象に、過剰包装を禁止する基準を発表。食品と化粧品の包装は4層を超えてはいけないと定め、2年間の移行期間を設けて2023年9月1日から適用するとしていた。

 今回の方針は、月餅とちまきについては包装を3層以下にすると規制をさらに強化し、適用期間も約1年間前倒しした。中秋節に向けた月餅商戦が始まる前に規制の網をかける狙いだ。

 中国の都市部の家庭ごみは、包装廃棄物が30~40%を占めており、大半が過剰包装によって発生している。業界関係者は「政府は2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量をピークアウトさせ、2060年までにCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指す二大公約を掲げている。過剰包装の制限強化は、低炭素社会の実現に向けた一環だ」と解説する。

 月餅やちまきの過剰包装はこれまで何度も問題になっている。政府はたびたび規制を設けているが、企業側は抜け道を探しては豪華商品を売り出し、それを求める消費者も少なくない。

 世界に表明した二大公約の力で、悪弊ともいえる長年の習慣を打ち破れるかが注目される。(c)東方新報/AFPBB News