【3月28日 AFP】キルギスの首都ビシケクから車で1時間ほどにあるカラバルタ(Kara-Balta)で、ウクライナでの戦いで死亡した、キルギス人ロシア兵ルスタム・ザリフリン(Rustam Zarifulin)さんの葬儀が行われた。

 青い制服を着たロシア兵が、イスラム教の言葉が刺しゅうされた、緑色の布がかぶせられたひつぎを運んでいく。辺りには母親の泣き声が響いた。

「呪われたウクライナ!」と、母親は布を優しくなでながら叫んだ。「ロシア軍に入隊したいといつも言っていた。その結果がこれ。私を置いてどこへ行くの? 私も一緒に連れて行って」

 キルギスでは先週も、ザリフリンさんと同様にウクライナで戦死したキルギス人ロシア兵の葬儀が行われた。旧ソ連構成国の中でも、ロシアから遠く離れた場所に位置するキルギスにも、ウクライナ侵攻の影響は及んでいる。

 ロシア当局は25日、侵攻開始以来、ロシア兵1351人が死亡したと発表した。だが、西側諸国は実際の死者数はこれを上回るとみている。北大西洋条約機構(NATO)の高官は、ロシア側の死者は7000~1万5000人に上ると推定した。

 ザリフリンさんは学校を卒業後、ロシア軍に入隊。今月14日に、ウクライナで戦闘中に死亡した。26歳だった。

 葬儀には、ロシア大使館の職員も参列した。大使館員は、ザリフリンさんの勇敢さをたたえ勲章が授けられると述べた。

 地元当局者が参列者に対し、報道関係者と話さないよう言っているのが聞こえてきた。辺りは静かで、犬の遠ぼえと人々の泣き声だけが響いていた。

 AFPの取材に応じたカラバルタの住民は、ザリフリンさんはロシア軍に入隊し戦うことを長年夢見ていたと語った。「ロシアを守りたい」と言っていたという。

 人口約700万人のキルギスは、イスラム教徒が多数を占めている。

 ザリフリンさんを子どもの頃から知っているティモフェイ・カルペンコ(Timofei Karpenko)さん(52)は、「カラバルタは優秀な若者を1人失った」と話した。自分の娘とザリフリンさんが結婚してはどうかと冗談を言うこともあったという。「本物の男、本物の戦士だった」と涙ながらに語った。

 カルペンコさんは、ウクライナ侵攻について「誰が悪いのかわからない」と話す。「プーチンが始めたと言う人もいる。別の人は…」と言葉を濁し、「だが、神は全てお見通しだ。審判が下されるだろう」と言った。(c)AFP/Tolkun Namatbaeva