【3月23日 東方新報】10日間にわたって行われ、13日に閉幕した北京冬季パラリンピック。大会を通じて、健常者と障害者の共生を目指す中国社会の取り組みと今後の課題が浮かび上がった。

 中国の障害者は総人口の6%にあたる約8500万人。改革開放政策を主導した鄧小平(Deng Xiaoping)氏の長男で下半身まひの鄧樸方(Deng Pufang)氏が1988年に中国障害者連合会のトップに就任し、障害者向けの法整備や地位向上に取り組んできた。

 中国の街並みは一般的に歩道の凸凹が大きくて車いすの人は利用しづらく、歩道と車道の段差も大きいため横断歩道を渡るのも苦労する。2008年の北京夏季五輪・パラリンピック開催が決まると、道路や駅のバリアフリー化が進み始めた。

 北京夏季パラリンピックの運営は、各国選手団の間で好評だった。当時の日本選手団幹部は「パラリンピックは五輪の『おまけ』扱いにされることが多い。五輪が終わっても、会場への道路標識が『オリンピック会場は右折』などと表記が変わっていないことが多いが、北京ではすべて『パラリンピック会場はこちら』と変更されていた。選手村にある鑑賞用の池が『視覚障害者の人に危険』と伝えると、翌日には池の周りに安全柵が設けられていた」と絶賛していた。

 今回の冬季パラリンピックでは約9000人のボランティアが参加。2008年夏季パラリンピックでもボランティアを指導した北京連合大学(Beijing Union University)特別教育学院教諭の郝傅萍(Hao Chuanping)さんは「障害者支援の基本は、あくまで補助。ボランティアが率先して何かをするのでなく、選手ら1人1人の障害の違いをつぶさに見て、支援の仕方を考える」と指導したという。競技会場では、競技日程や結果を伝える案内板は車いすの選手が見やすい高さに掲示。取材エリアには車いすの記者の専用スペースを設け、障害のある観客が移動する負担を減らすためバス乗り場と観客席をできる限り近くした。

 冬季パラリンピック開催が決まった後、中国では2016年から障害者の冬季スポーツ大会を開催。参加者は当初の1万人から現在は30万人を超える。北京冬季五輪組織委員会パラリンピック部総合所の竇維(Dou Wei)所長は「障害者向けのスポーツトレーニングプログラムが作られ、各地のスキー場やスケート場は無料か割引で入場できる。障害者の外出を促す取り組みが進んでいる」と話す。

 もちろん、まだまだ課題もある。中国障害者連合会によると、全国の公共施設で出入口の81%がバリアフリー化している一方、トイレのバリアフリーは38%にとどまる。また、視覚障害者は1700万人いるが盲導犬は300頭に満たず、さらに盲導犬を伴った視覚障害者が公共施設への入場を拒否されるケースも報告されている。

 北京冬季五輪組織委員会レガシープロジェクト責任者の劉興華(Liu Xinghua)さんは「パラリンピックの成功は終わりではなく次のステップの始まり。障害者がより良い生活を享受できる社会づくりを継続させる必要がある」と話している。(c)東方新報/AFPBB News