女子競技の未来「危うい」 世界陸連会長、トランス選手問題で警鐘
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【3月23日 AFP】ワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)のセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長は22日、各競技連盟がトランスジェンダー選手の参加に関するルールを正しく定めなければ、女子スポーツの未来は「危うい」と話した。
トランスジェンダー選手をめぐっては、米ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)に所属する競泳のリア・トーマス(Lia Thomas)が先日、全米大学選手権の500ヤード自由形を制し、全米大学体育協会(NCAA)のトップカテゴリー大会で優勝した初めてのトランスジェンダー選手となった。
以前は男子として大会に出場していたトーマスは、このところ米国の女子大学競泳界を席巻しており、物議を醸している。チームメートを含めた一部からは、トーマスは身体的に不当なアドバンテージを持っているから出場を禁止すべきだという意見がある一方で、女子選手として自由な大会出場を認めるべきだという声もある。
コー会長は英タイムズ(Times)紙に対して、不安をはらんだ問題だとの認識を示し、正しく規則を定めることが不可欠だと話した。
「この件については正しくやらないと、女子スポーツの健全性、さらには未来が非常に危うい」
「繊細かつ社会的な話題で、スポーツの枠を大きく超えている」
その上で、現役時代には英国代表として陸上中距離の五輪金メダルを獲得しているコー会長は、トランスジェンダー選手の女子大会への出場を認めるかの判断に関しては、「ジェンダーが生物学に優先されてはならない」と話した。
世界陸連のルールでは、トランスジェンダー女子選手は少なくとも大会の12か月前に、テストステロン値を規定のレベルまで下げることが求められている。(c)AFP