【3月21日 AFP】ロシア国防省は20日、ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリ(Mariupol)に対し、21日午前5時までに降伏するよう要求した。ウクライナ政府は21日、これを拒否するとともに、市民数十万人を安全に脱出させるようロシア側に求めた。

 イリーナ・ベレシチューク(Iryna Vereshchuk)副首相は降伏要求期限が数時間後に迫る中、ニュースサイト「ウクラインスカ・プラウダ(Ukrainska Pravda、ウクライナの真実)」に対し、「武器を手放すことはあり得ない。ロシア側にも既に伝えた」と語った。

 また、人道回廊を開設してマリウポリ市内に残留している推定35万人の市民を脱出させるよう要求したとしている。

 ロシア側は「ウクライナ軍部隊、領土防衛隊、外国人傭兵(ようへい)」に対し、「敵対行為をやめ、武器を置く」よう呼び掛け、降伏しなければ「軍法会議」以上のものが待ち構えていると警告していた。

 マリウポリは、ロシアが併合したクリミア(Crimea)半島とウクライナ北・東部のロシア制圧地域とを陸路で結ぶ戦略的要衝で、先月24日のロシア軍の侵攻開始以来、激しい攻撃にさらされている。

 侵攻後もしばらくマリウポリに残っていたギリシャ人外交官は、被害状況について「ゲルニカ(Guernica)、スターリングラード(Stalingrad、現ボルゴグラード)、グロズヌイ(Grozny)、アレッポ(Aleppo)など、戦争で完全に破壊された都市のリストに加わるだろう」と述べている。(c)AFP