トランスジェンダー競泳女子選手、全米大学選手権でも優勝
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【3月18日 AFP】米ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)に所属するトランスジェンダーの競泳選手リア・トーマス(Lia Thomas)が17日、全米大学体育協会(NCAA)ディビジョン1の選手権で女子500ヤード自由形を制し、物議を醸している自身のキャリアにまた一つ歴史的勝利を刻んだ。
トーマスは4分33秒24を記録し、米ジョージア州アトランタ(Atlanta)で開催されている全米大学トップカテゴリーの大会においてタイトルを獲得した初めてのトランスジェンダー選手となった。
トップから1.5秒以上遅れの4分34秒99でバージニア大学(University of Virginia)のエマ・ウェヤント(Emma Weyant)が2位に入り、昨年の東京五輪1500メートル自由形で銀メダリストとなったテキサス大学(University of Texas)のエリカ・サリバン(Erica Sullivan)が4分35秒92で3位に続いた。
ペンシルベニア大学では数年前まで男子チームに所属していたトーマスは、先日も同大学のアスリートとして米大学女子の競泳大会を席巻。この結果は一部のチームメートも含め周囲の意見を二分しており、トーマスの生理学的アドバンテージは不公平で出場を禁止すべきとする声と、同選手が女性として自由に競技するのを許されるべきとの声が上がっている。
トーマスは勝利後、今季圧倒的な強さを示していることで持ち上がった自身をめぐる論争を抑えようとしたと明かし、「できる限りそうしたことは無視し、自分のスイミングに集中しようと心掛けている。レースに向けて自分のやるべきことをして、他のことは遮ろうと努力している」と語った。
また、「この大会に多くの期待はしていなかった。とにかく、ここにいることを喜び、レースに臨んで全力で戦うことを心掛けた」と話したトーマスだが、レース後に優勝者としてアナウンスされた際の拍手はまばらで、他の上位選手が大声援を受けていたのとは対照的だった。
一方、この日はレース前に少人数の抗議グループが会場の外に集まり、「女子選手のためにフェアスポーツへの支持を」と書かれたものや、「女性のために立ち上がれ」と記された横断幕を広げてトーマスの大会参加に反対するデモを繰り広げていた。(c)AFP