【3月18日 AFP】ウクライナ危機が影を落とす中、来月10日に大統領選を迎えるフランスの有権者は、激動の時代に国を「守る」と公約する現職のエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)氏(44)を支持する姿勢を強めているようだ。

 1回目投票の1か月前に発表された複数の世論調査で、元投資銀行家のマクロン氏の支持率は前週比で急上昇し、30%に上った。

 一方、2位に付けている極右政党「国民連合(RN)」のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)氏は、仏世論研究所(Ifop)とコンサルティング会社フィデュシアル(Fiducial)の7日発表の調査で支持率18%と、大きく離されている。両氏が決選投票に進んだ場合、得票率56%対44%でマクロン氏が勝利すると予想されている。

 パリに本拠を置くシンクタンク「ジャン・ジョレス財団(Jean-Jaures Foundation)」のジェレミー・ペルティエ(Jeremie Peltier)調査部長はマクロン氏について、「ウクライナ危機前から最有力候補だったが、今やさらに盤石になった」とした上で、「だが、マイナス面もある。もう勝敗は決まった、決着はついたと考え、投票に行かない人が出る可能性がある」と指摘した。

 投票率の低さは、2002年の大統領選で、ルペン氏の父親ジャンマリ・ルペン(Jean-Marie Le Pen)氏が社会党(PS)のリオネル・ジョスパン(Lionel Jospin)首相(当時)を破って決選投票に進むという大番狂わせの主要因となった。この政治的地殻変動は今なお主要政党の候補者たちを悩ませている。

 ウクライナ危機によって有権者が再び結束したように見える一方、フランスでは数十年にわたり投票率が下がり続けている。投票率が下がれば、反移民を掲げる極右政治評論家エリック・ゼムール(Eric Zemmour)氏や、支持率3位を同氏と争う保守中道共和党のバレリー・ペクレス(Valerie Pecresse)氏、左派で唯一の2桁支持率を持つジャンリュック・メランション(Jean-Luc Melenchon)氏に有利に働く可能性がある。