■ヒトラーが絶えず引き合いに

 ドイツなど欧州各地で行われたウクライナ侵攻への抗議デモでは、プーチン氏の顔にヒトラーを象徴する口ひげを描き加えた風刺画が使われることも多かった。

 強制移住をテーマにした資料館「逃亡・追放・和解(Displacement, Expulsion, Reconciliation)」の代表で、歴史家のグンドラ・バベンダム(Gundula Bavendamm)氏は、ウクライナ侵攻をめぐり、ヒトラーが絶えず引き合いに出されることは問題だと指摘する。

 これにより、ロシアへのエネルギー依存、わずかな軍事予算、ドイツとプーチン氏が近かったこと、同氏がどのような人間か気付くのが遅すぎたことなど、ドイツの近年の失政が曖昧になってしまうためだ。

「第2次世界大戦における責任は常に考えてきたが、過去10〜15年についての重要な自己検証はできていなかったのかもしれない」

 ティーレさんは今、過去から学べていないことが原因で古傷が開いている。

「両親は二つの世界大戦を経験し、私は一つ経験した。けがらわしい豚、ヒトラーのせいだ」と語った。亡くなった夫の家族は共産主義者で、ザクセンハウゼン(Sachsenhausen)強制収容所に入れられていた。

「彼らは第3次世界大戦を始めたいのだろうか。少しでも戦争ということを理解していたら、もう一つ始めようなんて思わないだろう」 (c)AFP/Deborah COLE