【3月17日 AFP】国連(UN)の国際司法裁判所(ICJ)は16日、ロシアのウクライナへの侵攻について、武力行使を「深く懸念」していると表明、ロシアに対し即時に停止するよう命じた。

 ウクライナは、ロシアが先月24日に侵攻を開始した直後、ICJに提訴。ロシアが侵攻を正当化する口実として、ウクライナのドネツク(Donetsk)、ルガンスク(Lugansk)両州でジェノサイド(集団殺害)が行われているとの虚偽の主張をしたとし、停戦に向けた緊急措置を求めていた。

 ロシアは今月7、8両日の審理を欠席。代わりに文書を提出し、ウクライナの要求は1948年に採択された「ジェノサイド条約(Genocide Convention)」の範囲外であるため、ICJには管轄権がないと主張していた。

 ICJのジョーン・ドナヒュー(Joan Donoghue)所長はロシア側の主張を退け、最終的な判決に至る前の暫定措置として、ロシアに対し軍事作戦の即時停止を命令。ロシアによる武力行使は国際法上、極めて深刻な問題を提起するものであり、ICJは「深く懸念している」と述べた。

 ICJの判決には拘束力があるが、執行のための実質的な手段はない。ただウクライナ側は、今回の暫定措置命令を「完全な勝利」と歓迎。「ウクライナの人々が日常生活に戻れるまで」訴訟を続けるとした。(c)AFP/Jan HENNOP