【3月16日 AFP】都市の包囲や民間インフラへの砲撃、市民を退避させる「人道回廊」の設置──。ウクライナ侵攻でロシアが採用している戦術は、シリア内戦に軍事介入して反体制派を弱体化させるために試し、微調整を加えてきた手法に酷似している。

 ただし、作戦計画は異なるものとなる。シリアの反体制派武装勢力には、軍事力も国際社会からの広範な支援もなかった。西側の支援を受けたウクライナ軍は、いずれの点も大きく上回っていると、アナリストは指摘する。

 ロシアは2015年、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権を支援するためにシリア内戦に介入。10年超に及ぶ内戦における決定的な戦いで、政権側に勝利をもたらしてきた。

 ウクライナでも、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が先月24日に侵攻を命じて以降、大規模なロシア軍部隊が進攻。都市中心部に砲撃を加えたり、多数の民間人に避難を強いたりし、国際社会から激しい非難の声が上がった。

 ロシア軍が民間人居住区を標的にしていることを示す多くの証拠があるにもかかわらず、ロシア側はこれを否定。これに対し、西側主要国や人権団体は、戦争犯罪の可能性があると糾弾している。

 フランス軍事筋はAFPに「シリアは小さな舞台だった」とし、ロシアのウクライナ侵攻で特筆すべきは「規模の違い」だと語った。

 ただロシア軍は、シリアで複数の兵器体系の試験を実施し、重要な実戦経験を積んだ。ウクライナで採用されている戦術の多くも、シリアでの経験から導き出されたものだ。

 アナリストのファブリス・バランシュ(Fabrice Balanche)氏は「ロシアにとってシリアは兵士や装備の実験場だ」と解説する。