■異なる戦場

 もう一つ類似する戦術として、包囲した都市からの市民を退避させるための「人道回廊」が挙げられる。専門家によると、これもシリアで試された戦術であり、包囲された反体制派支配地域から国際的な保障のないまま避難する民間人は、時に死傷したり、拘束されたりする。

 シリアとは状況が異なる点もある。米首都ワシントンにあるシンクタンク、ニューラインズ研究所(Newlines Institute)のニコラス・ヘラス(Nicholas Heras)氏は「シリアでロシア軍は、親アサド派部隊に助言したり、援護したりする際、空軍力や特殊部隊に主に依存していた」のに対し、「ウクライナではロシア軍自体が(主要な)戦闘部隊になっている」と解説する。

 またヘラス氏は、相手の戦闘能力という面でも大きな違いがあると指摘する。ロシア軍は現在、対空砲や対戦車砲などを西側諸国から供与されたウクライナ軍と戦っているが、「ロシア軍が完全に優勢だったシリアでは、マイナーリーグに参戦したようなものだった」と話した。

 とはいえ、ロシアの有力シンクタンク、ロシア外交問題評議会(Russia International Affairs Council)のアントン・マルダソフ(Anton Mardasov)客員研究員によれば、ロシアは兵器体系についての感覚を磨いてきた。

 マルダソフ氏は「(ロシア軍は)シリアで使用した地対空の精密誘導兵器の欠点を修正した」とし、「ウクライナでは精密誘導兵器を積極的かつ正確に使用している」と述べた。(c)AFP/ Hashem Osseiran